米国食品医薬品局(FDA)は、ヘアカラーリング剤に使用される酢酸鉛を認証リストから除外する方向で推進している。「認証されていない着色添加剤:酢酸鉛のリストからの除外」と題した最終規則は、ヘアカラーリング剤メーカーCombe社の異議申し立てに対応して保留となっていた。
Combe社の異議を評価した結果、規則を覆す根拠がなかったため、FDAは着色添加剤のリストから酢酸鉛を除外する改定を推進する予定である。
FDAが酢酸鉛をリストから外した場合の影響について、以下をあわせて確認する必要がある。
着色添加剤に関するFDAの最終規則
2018年10月31日に公表されたFDAの最終規則では、ヘアカラーリング剤に含まれる酢酸鉛が「無害であるという根拠がもはや十分でない」とするFDAの判断を反映し、着色添加剤に関する規則が改定された。
1980年、FDAはヘアカラーリング剤に使用される酢酸鉛は一定量で一定の設定値内である場合には安全であるとみなしていた。しかし、FDAが着色添加剤のリストから酢酸鉛を除外する方向であることについて、酢酸鉛を安全であると断定するこれまでの見方は正確ではないとする最近の調査に基づくと説明している。現在FDAは、ヘアカラーリング剤に使用される酢酸鉛はその量にかかわらず安全とは断定できないことを示すエビデンスを支持している。
規則の保留
この最終規則に関する意義の申し立てやヒアリングの要請期限は2018年11月30日までとされ、Combe社は最終規則に対して19件の異議を申し立て、それぞれについてヒアリングを要請していた。FDC法では、最終規則に対して意義が申し立てられた場合は保留とする、と規定されている。つまり、FDAが最終措置をとるまで、現状維持となる。
Combe社の異議内容を分析した結果、FDAは「証拠審問によって解決するような事実はない」という結論に至り、ヒアリング要請を拒否した。その他に異議申し立てがなかったため、最終規則の保留を解除した。2022年の1月6日付で、FDAはヘアカラーリング剤に使用される着色添加剤のリストから酢酸鉛を除外する予定である。これに伴い、化粧品に酢酸鉛を使用することは事実上禁止されることになる。
化粧品メーカーは酢酸鉛を含むヘアカラーリング商品の供給を12ヶ月間は認められるが、その間に処方の変更が求められる。
The Personal Care Products Safety Act (パーソナルケア商品の安全に関する法律)
FDAの酢酸鉛に関する最終規則は、2021年6月17日に連邦議会が行ったPersonal Care Products Safety Act(パーソナルケア商品の安全に関する法律)に対する提議に従ったものである。法案が可決すれば、安全性を目的としてパーソナルケア商品の成分を規制するFDAの権限が拡大され、商品に対する監視が強化される。
また、同法ではパーソナルケア商品関連施設に対して以下を義務付けている。
- 規則に従ったFDAへの施設登録および登録の更新
- FDAに対する原材料の開示
- 医療の介入が必要になるような重大な副作用の報告
- パーソナルケア商品に関するGMP(適正製造規範)の遵守
同法の施行により、GMPの構築が義務付けられる見込みである。
法案はまだ可決されていないが、多くの議員や化粧品メーカー自体もこの改定を支持している。可決すれば、FDAが規制する他の業界に適用されている規則に類似の規則が策定される見込みである。
原文:FDA Upholds Final Rule Removing Lead Acetate From Listing of Color Additives October 19, 2021
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