前回、化粧品のHSコードのお話をしましたので、今日は関税の話をしたいと思います。
HSコードさえわかれば各国の関税率は簡単に調べることができるという話をしましたが、関税率を決定させるために必要なものがあと2つあります。それは輸出国と原産地です。
製品を輸入通関する際に適用されるHSコードはひとつであっても、関税率はひとつではありません。同じ製品を輸入する場合でも、輸出国や原産地によって適用される税率が変わってくるのです。
ちなみに税率には、次の6つがあります。
- 基本税率(すべての国と地域に適用される基本の税率)
- 暫定税率(基本税率を変更する際に、暫定的に適用される税率)
- 協定税率(WTO加盟国・地域及び2か国間で約束している税率)
- GSP特恵税率(開発途上国や後進国に適用される税率)
- FTA特恵税率(自由貿易協定の国・地域に適用される税率)
- EPA特恵税率(経済連携協定の国・地域に適用される税率)
通常の貿易であればAの基本税率を使いますが、輸出国と輸入国同士で何らかの貿易協定がある場合、そこで定められた税率を使います。例えば昨年、日本と米国の間で締結された日米貿易協定で定められた製品を輸出する場合には、「輸出国」「HSコード」「原産地」の条件に合致していれば、特恵関税の税率が使えます。
なんだか面倒くさそうと思われた方、ご安心ください。アメリカ向けに関して言えば、ほとんどの化粧品には関税がかかりません。
第33類の3項から6項までは関税はフリー、7項だけ5%(2.4%~6%)かかります。
第34類についても、化粧品としてのスキンケア用せっけんについては特殊なものを除いてフリーです。大雑把に整理すると、こんな感じになります。化粧品関係で関税がかかるのは髭剃り関係のものだけ、ということになります。
◇ 関税がかからない化粧品
- 香水、オーデコロン
- メーキャップ用品とお肌のお手入れ用品
- ヘアケア用品
- お口のケア用品
- 液状またはクリーム状のスキンケア用せっけん
◇ 5%程度、関税がかかる化粧品
- 髭剃り用品
このように、アメリカに輸出するほとんどの化粧品については関税の心配をする必要はないのですが、輸入通関で間違ったHSコードを振られてしまうと、せっかくの関税フリーの恩恵が受けられなくなります。
次回は、そうならないためのちょっとしたコツについてお話しします。
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