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3. FDAについて

アメリカの化粧品マーケットに乗り込むのであれば、まずFDAのことを知っておく必要があります。FDAという名前はなんとなく聞いたことがあるかとは思います。日本でいえば、薬事法、現在の薬機法(正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます)に近いイメージをお持ちの方も多いでしょう。

FDAとは、アメリカ合衆国保健福祉省配下の政府機関で、アメリカ食品医薬品局(FDA, Food and Drug Administration)のことを指します。連邦食品・医薬品・化粧品法を根拠として、食品、薬品や化粧品に関する法律の施行に携わる政府機関として、アメリカで販売される食品、飲料、化粧品、医療機器、薬品、放射線機器、獣医動物関係製品を管轄しています。FDAはそれらの製品のアメリカ国内での流通における「ルールの策定」と「監視と取り締り」を行っている機関と言い換えることもできます。輸入のルールではなく、流通に関するルール、というところがポイントです。流通に関するルール、ということはつまり、アメリカ国内の市場で食品や化粧品を売るためのルールということです。

アメリカに住む個人が、日本のショッピングサイトで購入した化粧品をEMSか何かでアメリカに送るのであれば、FDAは出てきません。それは日本のマーケットの話だからです。(明らかに個人ユースを超える量で、アメリカに到着後に再販される、つまり流通に乗せられる恐れがあると思われる場合は、FDAが乗り出してきます。)

それでは、アメリカのECサイト、例えばAmazon.comで化粧品を購入し、日本の在庫からアメリカの個人宛に送るという場合はどうでしょうか。この場合は、アメリカの流通で販売しているので、FDAの管轄となり、彼らの定めたルールに従わなければなりません。FDAがアメリカ国内の流通を管理しているというのはそういう意味です。

しかしFDAというとどうしても輸入通関の時にでてきそうな感じがします。そのとおりです。FDAのルールに違反していないかどうかの確認がされる最初の関門は税関です。

日本の税関を例にとりましょう。外国貨物を日本に輸入する際、税関は関税法という法律に従ってその貨物の輸入を判断します。しかし、関税法だけで輸入の許可を出すわけではありません。日本に輸入される外国貨物には、輸出貿易管理令や薬機法、ワシントン条約といったたくさんの法律や条約がたくさんあるので、税関はそういった関連するすべての法律や規定で許可されているか、承認されているかを確認したうえで輸入の判断を下します。

アメリカの税関も日本と同じで関税法にのっとり輸入の審査を行います。それとは別に、例えば食品や化粧品であれば、FDAの定めた法律である食品安全強化法やバイオテロ法といった法律を参照します。そこでFDAのルールに準拠していることが証明されなければ、税関は許可を出さず、その製品は税関に留め置かれることになります。

次回はFDAのルールにもう少し踏み込んでみることにしましょう。

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